この『ゲージ理論』ノートは、素粒子論や微分幾何を学ぶ上で避けて通れない"場の幾何構造"を、できる限り具体的に整理したものです。抽象的な定義に終始せず、「なぜこの構造が必要なのか」「何を表しているのか」を意識しながら、ベクトル束、ファイバー束、接続、曲率、特性類といった基本的なトピックを流れに沿って書きました。
対象としては計量がEuclidでないいわゆる疑リーマン幾何学についての説明も多少含みます。
最初はベクトル束や主束(主G束)といった、場の背後にある"空間の張り合わせ"のアイデアから始めています。そこから共変微分(接続)の定義、接続形式とその変換法則、そして曲率形式へと進み、ゲージ理論における"力"や"場"の幾何的記述を探っていきます。
特にこだわったのは、接続の変換則や曲率のBianchi恒等式の導出、さらには擬リーマン幾何の枠組みにおけるレビ・チビタ接続の一意性の構成です。1-formを用いた表記や、Hodge作用素、縮約記号などを駆使して、物理や幾何の視点が自然につながるように書いています。
終盤では、特性類(Chern類、Pontrjagin類、Euler類)やChern-Simons形式の導出、トポロジー的意味付けにまで踏み込み、物理的なインスタントンやアノマリーとの関係、さらには指数定理へのつながりにも軽く触れています。
「幾何と物理の接点を見たい」「ゲージ理論を形として理解したい」という方には、きっと発見のあるノートになっていると思います。トポロジーと場の理論がつながる世界を、ぜひ一緒に眺めてみてください。
など