多変数関数の講義で、勾配は関数がいちばん速く増える向きを表す、と出てきました。 偏微分を並べて勾配を計算するところまではできたのですが、なぜそれが向きまで表すのかは 講義中には分かりませんでした。
方向微分の式を見直して、例を一つ計算し、ノートに等高線を描いてみました。 今回はそのときに確認した範囲だけです。
方向微分をもう一度見る
点 \((a,b)\) から、単位ベクトル
の向きに少し動くことを考えます。\(t\) だけ動いたところでの関数の値を
とおくと、この向きへの方向微分は \(g'(0)\) です。合成関数の微分を使うと
となります。
講義では最後の式だけを見ていたので、偏微分を並べたものが急にベクトルとして出てきたように 感じていました。実際には、動く向きの成分 \(u_1,u_2\) と掛けるために、この並び方になっています。
一つの関数で計算する
次の関数を考えました。
偏微分は
なので、点 \((1,1)\) での勾配は
です。ここから単位ベクトル
の向きに動くとき、方向微分は
となります。
内積を二つのベクトルの長さと角度で書けば、
です。ここで \(\theta '\) は勾配と \(\boldsymbol {u}\) の間の角です。 \(|\boldsymbol {u}|=1\) で、\(\cos \theta '\) がいちばん大きいのは \(\theta '=0\) のときなので、方向微分は勾配と同じ向きで最大になります。
この例では
なので、最大になる方向と、そのときの方向微分は
になります。
等高線を描いてみる
\(f(x,y)=c\) とすると
なので、等高線は横長の楕円になります。点 \((1,1)\) を通る等高線は \(c=3\) です。 ノートに何本か描いて、\((1,1)\) から勾配 \((2,4)\) の向きに矢印を引きました。
図を見ると、勾配は点 \((1,1)\) を通る楕円を横切る向きになっています。 一方で、等高線に沿って動くなら関数の値は変わらないので、その向きへの方向微分は0です。
接線との直角も計算してみました。\(x^2+2y^2=3\) を \(x\) で微分すると
で、\((1,1)\) での接線の傾きは \(-1/2\) です。勾配 \((2,4)\) の向きの傾きは2なので、 二つを掛けると \(-1\) になり、たしかに直角です。
今のところの理解
勾配がいちばん増える向きだという説明を、最初は等高線の図だけの話だと思っていました。 方向微分が \(\nabla f\cdot \boldsymbol {u}\) と書けるので、動く向きを変えたときの変化率を まとめて持っているのが勾配なのだと分かりました。
今回は \(f(x,y)=x^2+2y^2\) の一点で確認しただけです。等高線がもっと複雑な形でも 同じように見えるのかは、まだ図にしていません。