方向微分をもう一度見る
点 \((a,b)\) から、単位ベクトル\[ \boldsymbol {u}=(u_1,u_2) \]
の向きに少し動くことを考えます。\(t\) だけ動いたところでの関数の値を \[ g(t)=f(a+tu_1,b+tu_2) \]
とおくと、この向きへの方向微分は \(g'(0)\) です。合成関数の微分を使うと \begin{align} g'(0) &=f_x(a,b)u_1+f_y(a,b)u_2 \\ &=(f_x(a,b),f_y(a,b))\cdot (u_1,u_2) \\ &=\nabla f(a,b)\cdot \boldsymbol {u} \end{align}
となります。 講義では最後の式だけを見ていたので、偏微分を並べたものが急にベクトルとして出てきたように 感じていました。実際には、動く向きの成分 \(u_1,u_2\) と掛けるために、この並び方になっています。
一つの関数で計算する
次の関数を考えました。\[ f(x,y)=x^2+2y^2 \]
偏微分は \[ f_x(x,y)=2x,\qquad f_y(x,y)=4y \]
なので、点 \((1,1)\) での勾配は \[ \nabla f(1,1)=(2,4) \]
です。ここから単位ベクトル \[ \boldsymbol {u}=(\cos \theta ,\sin \theta ) \]
の向きに動くとき、方向微分は \begin{align} D_{\boldsymbol {u}}f(1,1) &=\nabla f(1,1)\cdot \boldsymbol {u} \\ &=2\cos \theta +4\sin \theta \end{align}
となります。 内積を二つのベクトルの長さと角度で書けば、
\[ \nabla f(1,1)\cdot \boldsymbol {u} =|\nabla f(1,1)|\,|\boldsymbol {u}|\cos \theta ' \]
です。ここで \(\theta '\) は勾配と \(\boldsymbol {u}\) の間の角です。 \(|\boldsymbol {u}|=1\) で、\(\cos \theta '\) がいちばん大きいのは \(\theta '=0\) のときなので、方向微分は勾配と同じ向きで最大になります。 この例では \[ |\nabla f(1,1)|=\sqrt {2^2+4^2}=2\sqrt {5} \]
なので、最大になる方向と、そのときの方向微分は \[ \boldsymbol {u}=\left (\frac {1}{\sqrt {5}},\frac {2}{\sqrt {5}}\right ), \qquad D_{\boldsymbol {u}}f(1,1)=2\sqrt {5} \]
になります。 等高線を描いてみる
\(f(x,y)=c\) とすると\[ x^2+2y^2=c \]
なので、等高線は横長の楕円になります。点 \((1,1)\) を通る等高線は \(c=3\) です。 ノートに何本か描いて、\((1,1)\) から勾配 \((2,4)\) の向きに矢印を引きました。 図を見ると、勾配は点 \((1,1)\) を通る楕円を横切る向きになっています。 一方で、等高線に沿って動くなら関数の値は変わらないので、その向きへの方向微分は0です。 接線との直角も計算してみました。\(x^2+2y^2=3\) を \(x\) で微分すると \[ 2x+4y\frac {dy}{dx}=0 \]
で、\((1,1)\) での接線の傾きは \(-1/2\) です。勾配 \((2,4)\) の向きの傾きは2なので、 二つを掛けると \(-1\) になり、たしかに直角です。