この『トポロジー』ノートは、位相空間そのものよりも、多様体とその上での微分形式やコホモロジーの構造に焦点を当ててまとめたものです。幾何学とトポロジーの関係や代数的な構造 ―― ド・ラーム複体、チェイン複体、コホモロジー、完全系列など――を使って、多様体の"形"や"構造"をどう理解するかを探っていきます。
内容としては最初にチェイン複体の基礎からMayer-Vietoris系列の説明、及びその応用まで取り上げました。 基本的には多様体への応用です。ド・ラーム複体を中心に、ド・ラームの定理の証明やMorse理論的な考え方の紹介からMorseの不等式の証明も含みます。
また指数定理の一歩手前のマッキーン・シンガーの定理の証明にも触れています。
いろいろな多様体のコホモロジー群やオイラー数の計算なんかも。 かなり偏った内容ですが、物理で扱う範囲において知っておいたらいいかもな基礎的事項を取り上げてます。
特に力を入れたのは、最初のチェックコホモロジーやMayer–Vietoris系列を使って、多様体のコホモロジーを実際に計算していくプロセスです。球面やトーラスなどの基本的な例から始めて、点をくり抜いた空間、複数の球面の貼り合わせ、さらにはトーラスの穴の数とオイラー数の関係など、具体例をもとに理解が進むように構成しています。
このノートを読むことである程度の具体的な形のオイラー数の計算などができるようになるのではないかと思います。
また、Hodgeの分解定理やMorse理論的な視点から、多様体の分割や臨界点の影響にも触れています。最終章では、写像度やホモトピー不変量として写像度を捉える考え方も紹介し、物理的応用("無限遠で0に近づく"微分形式)にまで踏み込みました。
「抽象っぽいけど、具体的な道具で語れる数学」を目指したこのノート、位相や幾何の"裏側"を覗いてみたい人におすすめです。
など