このノートでは「公式集」ノートで展開したいくつかの級数の関係式をいくつか追加する目的で書きました。
数ページの小作品です。
本ノートは、「公式集」ノートで提示した三角級数 ~、~ の解析をさらに一歩拡張しました。
これらは公式集ノートにおいて
および 型のディリクレ級数として定義したもので、その解析接続 s ↦ 1 − s に対して級数形・積分形の両方で同一の構造が現れることを確認していました。そこでは や が係数として現れることで、零点配置がリーマンζ関数の自明零点と鏡映関係を持つことを明らかにしていました。
本稿の新規部分は、位相を πs/2 だけ平行移動した改良級数 ~ および (式 (33)–(36)) の導入です。これにより と の混合項が一つの級数に集約され、 で
を再現する、いわば「ゼータ関数の影」とも言うべき新しい関数等式 (37)–(40) が得られました。
読者諸氏には、リーマン関数の世界に現れる対称性と、三角級数の具体的な計算技法がどのように呼応するかを体感していただければ幸いです。本ノートが、解析的整数論・保型表現論・スペクトル解析といった分野で日々試行錯誤されている研究者や、純粋に「美しい公式の連鎖」に魅了される数学愛好家の議論の糧となることを願っています。
なお、誤植や改良案、関連文献の情報などがありましたら、ぜひコメントでお知らせください。皆さまとの共同探索を通じて、本稿をより堅牢かつ魅力的なリソースへと育てていければと考えています。